外来生物法

 

 2005年(平成17年)6月1日、外来生物法が施行されました。

正式には、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律。みなさんご存知でしょうか?既に知っている方もいらっしゃると思いますが再確認のために、初めて聞いたという方はこういう法律が施行されたということを頭に入れて頂ければ幸いです。

 

 まず、外来生物法の目的は生態系、人の生命、身体、農林水産業への被害を防止されるためにつくられました。対象種として特定外来生物37種(アライグマ、タイワンザル、ジャワマングース、オオクチバス、カミツキガメ・・・他)。禁止事項は飼養、保管、運搬、輸入等が制限され

 ます。

 

 最近では、特定外来生物のカミツキガメの遺棄事件が全国で見受けられます。

四国の観音寺の水路、山梨の南アルプスの水田、神戸のプール内で発見、大分別府のアパートの草むら、書くとキリがないくらい全国あちこちで目撃されてます。恐らく、飼い切れなくなり遺棄したか、脱走したものが大半だと思います。カミツキガメはその名のとおり、強力なあごをもっており、人の指くらいは噛み切る力をもっています。そのような生き物を安易に捨てる神経も疑いますが、外来生物法をきちんと理解していない飼い主が多いのも現状ではないでしょうか?カミツキガメは、研究目的などを除き一般の飼育は禁止されているが、2005年6月に法律が施行される前からペットとして飼育していた場合は環境省に申請すれば、飼育が続けられます。法律施行=禁止ではないのです。違反すれば、個人の場合は、「懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金」。法人の場合は、「1億円以下の罰金」とかなり厳しい制裁を受ける事になります。カミツキガメに限らず、自分が飼育している生物について責任をもってもっとよく知る必要があると思います。

 

 話を戻しまして外来生物とは、もともとその地域にはいなかったのに、人間の活動によって外国から入ってきた生物のこと。食用やペットとして輸入されたり、その運搬途中で荷物にまぎれこんだりしたものも含まれます。

 

 現在、外来生物は約2000種あると言われています。代表的なものは、皆さんご存知のシロツメグサ(四葉のクローバー)、アメリカザリガニ、ホテイアオイなどがあります。

 

 その外来生物の中で問題になっているのが、侵略的外来生物です。

侵略的外来生物とは、外来生物の中で、定着している、いないに関わらず、地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かすものをいいます。「侵略的」というと、何か恐ろしく、悪い生き物なのか?と思われがちですが環境によって条件がそろってしまうと異常に繁殖して、他の生態系や人の生命、身体、農林水産業へ影響を与えてしまう生物をいいます。

 

 そして、その侵略的外来生物に入っているのが悲しいかなこのHPでも紹介しているミシシッピアカミミガメです。日本の侵略的外来種ワースト100のみならず、世界の侵略的外来種ワースト100にもノミネートされてます。現在、規制がかかる生物ではないのですが、取り扱いに注意ということで要注意外来生物リストにはいってます。

 

 アカミミガメは、世界的に見ても最も流通量の多い爬虫類とされています。

南アフリカではすでに輸入が禁止されており、2003年より韓国でも輸入が禁止。ヨーロッパ諸国でも輸入を禁止する動きが出ています。この現実を見ただけでも、アカミミガメがどれだけ丈夫で様様な環境に順応できる生き物であるかお分かりいただけるのではないでしょうか。何度も言います、飼いきれなくなったからと言って捨てるのはやめましょう。

 

 アカミミガメは被害に係る一定の知見はあり、引き続き特定外来生物等への指定の適否について検討する外来生物に指定されています。そのためか、ペットショップ等でも最近、「法律の規制で入荷の予定なし」などの張り紙をよく目にします。恐らく、今後アカミミガメが特定外来生物の指定を受ける可能性が高いことを察知しての判断なのでしょう。今は、大量に出回っていて安価に買えるアカミミガメですが、法律の規制で数十年後には逆に最も希少で価値のあるカメになっているかも・・・。

 

環境省が掲げたスローガン

 

外来生物被害予防三原則

~侵略的外来生物による被害を予防するために

 

1.入れない ~悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない

2.捨てない ~飼っている外来生物を野外に捨てない

3.拡げない ~野外にすでにいる外来生物は他域に拡げない

 

外来生物法をもっと詳しく知りたい方は環境省外来生物法